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11/01/27 元気な“からだ”づくり
10/11/26 地域主権時代の都市計画
09/11/20 “1円さん”平等配分論
09/06/30 野芥・田隈地区交通環境整備について
09/05/19 「地域づくりから政治を変えよう」
09/04/16 田楽辻づくり提案
未来の具体図
“ライブ都市 ” づくり

背景
 経済が停滞し、政治、財政、諸制度閉塞の状態が続く、いまの日本は、「都(みやこ)では必要なことは何も起こらない時代」に、再びなってきた感じがしています。 新しい時代の幕開けは、九州では島津斉彬や大友宗麟などのように、地域が中央とは一線を画し、国を超えて、世界を相手にし、自立し、なされてきました。 福岡も、これまでの東京依存の都市機能から、成長する東アジアとの創造的関係を模索すべき時代に入ったと認識します。

 そして、情報ネット時代のいま、“生(なま)”より貴重なものはありません。 “生(なま)”以外のものはすべて、アッという間にコピーされ、アッという間にネットで世界に流れます。 しかし、“生(なま)の生成”は真似できない。都市計画家として、特定の分野で“生(なま)”の試みが次々に生まれる都市的なセッティング(舞台とシナリオ)を準備したい。

“ライブ都市”
 次々に旬の“しごと”につながる“生(なま)”が生まれ出る都市(まち)、好奇心旺盛な人たちが集まる場がある都市(まち)〜“ライブ都市”をつくる。 この“ライブ都市”の特性は、1)ライブ産業が根付き、2) 山森(やまもり)の力(エネルギー)が都市(まち)の食とエネルギーの源の一つとなること、簡単に言うと、“ライブ産業”と“山森力” (やまもりりょく)という2つです。

 少し“ライブ都市”のイメージを膨らませてみます;次々に物語が生まれ続ける都市(まち)。 できあがった加工品で稼ぐのではない都市(まち)。天然もぎたての食べ物であり、製品であり、出来事で稼ぐ都市(まち)。 荒削りだけど、フレッシュな品物、出来事、組織、試みの見える都市(まち)。 売り物は“生(なま)”の出来事、“生(なま)”の情報。 先端の研究、先端の開発。まず、“生(なま)”があって、そこから旬の産業、“ライブ産業”が育ちます。

 次に、山の森は太古から“生(なま)”の産地です。 自然の力がもっともイキイキと働いて新しい生(いのち)が生まれいずるところ、そして、いまも天然の食とエネルギーの豊かな力(ポテンシャル)をもつところです。 私はこれまでも、早良区で山から海までを結びつける水の循環にもとづく地域社会づくりを考えてきました。近代、私たちが一番置き去りにしてきたのは山森なのです。

 いま原発事故を受けて、“山森力”を使う動きが活発になってきています。 出力1000`h以下の小水力開発適地は全国で2万地点にのぼるというレポートが出て、小水力発電が注目を集めています。 また、山森が太陽と共に生み出すバイオ資源を使ったバイオ発電や、木材チップ工場の建設などは活発に取り組み始められています。 そして、福岡市で忘れてはならないのは福岡市の面積の1/3は山森だということです。 山森を生き生きと再生し、“生(なま)”の資源として“山森力”を活用します。

“ライブ都市”のセッティング
 “ライブ都市”をつくり出すに当たって必要なセッティング(舞台とシナリオ)を提示します。 まず、一体的に私たちが愛着を持って感知できる圏域を都市づくりのエリアとして明確に位置づける必要があります。 福岡都市圏なら三郡山系、脊振山系と筑紫野市を南端とする圏域です。 それは、水による自然循環の圏域であり、自然、住まい、仕事を、一次産業から含めて一体的に都市経済活動としてとらえることができる広がりです。 すなわち、一体的生活圏で“ライブ都市”づくりで考えるのです。 この圏域の中で私たちが一体的に関知できる自然、人工物、文化、仕事などの“これまでの物語(歴史)”と、その物語の未来をみんなで一緒になってつくりだしていく。 この完結して私たちが連帯できる圏域の設定が、即ち“私たちの地域”確定が、まずもって必要なセッティングです。


 次に必要なのは、この圏域内での私たちの日常活動が、できる限りどこよりも簡潔におこなえるような都市基盤と必要となる専門的活動母体を複数つくりあげることです。 これは、前提となる圏域設定の後に行う、公的力を必要とするセッティングです。

テーマ設定が決める“生(なま)の生成力“
 この公的セッティングをつくるためには、まず“私たちの地域”の“これまでの物語(歴史)”を共有し、実情を共有し、そして、私たちみんなで、“私たちの地域”の未来の物語のシナリオをつくり出す必要があります。 もちろん、時間の経過と共に本物の物語はつくられていくのですが、シナリオで重要なのは、ゴールするときのイメージと、あら筋と、配役なのです。 それさえ決めれば、あとはアドリブ、それぞれがあら筋に従って、愉しく、懸命に演じきればいい。 これまでのシナリオは既に、先進国入りというフィナーレで幕が下りてしまっています。 待っていても新しいシナリオは出てきません。 だから、“私たちの地域”で、私たちみずからが作るのです。

 “ライブ都市” における“生(なま)の生成力”の強さは、設定するテーマの世界への貢献度、これからの社会における重要度で決まります。 いまある世界的な課題、例えば、お金のあり方、仕事のあり方、エネルギー供給、森林復活など、それも、福岡で取り組み貢献できるテーマをみんなで決め、“私たちの地域”から世界を相手に、世界を巻き込みながら“生(なま)”の物語づくり活動をおこなう。 そして、参加者がどんどん増え拡がっていく。 その過程の中で、つぎつぎに目を見張るような“生(なま)”が生まれ出てくると想っています。

何からやるか? どこまでやるか?
 まずは、いまの行政区を超えたつながりである“私たちの地域”での物語を考える「“志々の國”福岡会議」”Forum for Force of Regional-Will”、を始めます。 会議は、まず全体で“ライブ都市”のビジョンとテーマを固めます。 そして、“エネルギー”、“しごと”、“地域基盤”の三つの分野の具体策をまとめます。 これで“私たちの地域”シナリオはほぼできあがりです。

 この活動が、結果として、一体的に戦略をつくり、計画を作り、実施することのできる公権力づくりにつながっていくと想っています。 多くの方々にご参加いただけることを、希望いたします。 よろしくお願いします。



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